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鉄火大名 

Lord of Steel Heart

1961(昭和36年)/1/9公開 92分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12089 
配給:東映 製作:東映

反骨一代を貫いた槍の豪傑・後藤又兵衛を主人公に、義に生き情に篤いひとりの戦国武将の姿を描いた市川右太衛門主演の豪快“大名シリーズ”。

鉄火大名 
(C)東映

ストーリー

一代の英雄太閤秀吉亡きあと、徳川家康は一挙に豊臣家を葬らんと決意し、外藩諸侯を急遽駿府に集合せしめた。かつての豊臣傘下の諸大名も、家康の威光を恐れ、続々と駿府に集まる。筑前福岡五十二万石・黒田長政もその一人だったが、長政の家老・三左衛門と宰領の金光は、家康の腹心・本多佐渡守に賄賂を贈るなど、権謀術数を追うことに汲々としていた。このような風潮の中、長政の家臣ながら大隅一万石を預かる槍の後藤又兵衛基次は、豊臣の恩義を忘れず義に生きる真の戦国武将の一人だった。駿府に入った夜、長政は禁煙、禁足を告示したが、又兵衛はこの命令にかまわず盛大な酒宴を開いて長政はじめ諸大名の度肝を抜いた。だが、家老の三左衛門は、これを機に又兵衛の失脚を計り大隅城を手中に収めんと謀略をめぐらすのだった。その第一の手段として三左衛門は、柚木、信濃の二人に又兵衛の見張り役を申し付けた。明くれば、駿府城に諸大名が総登城する日、一斉に平伏する諸大名の中、家康に平然と対面した又兵衛は、長政、三左衛門らの驚きを尻目に諸大名を腰抜けと罵ると豊臣への恩義の言葉を披瀝して家康の度肝を抜いた。また、酒宴の席に移ってからは家康を二枚舌と決めつけてまんまと徳川家家宝の名槍・神州号をせしめた。
又兵衛の傍若無人な振る舞いに怒った長政は、下城後、又兵衛を詰問しようとするが、この時既に又兵衛は駿府を去っていた。このため、監視役の柚木と信濃は三左衛門の手によって斬り殺されてしまう。駿府を去った又兵衛は、途中大阪城に立ち寄ると、秀頼と対面の後、一族の歓喜を浴びて大隅城に帰城した。城内では、すぐさま賑やかな酒宴が開かれたが、その中には、仲良く寄り添う小次郎とあずさ、意気盛んな勘助、又介らの楽しそうな姿があった。そしてまた又兵衛の帰りを誰よりも待ちわびていたのは、女ながら小太刀の名手と謳われた柚木千春だった。
だが、この楽しさも一瞬にして破れ去る。長政から国元へ急使が到着し、大隅城外に厳重な警備が敷かれたのだ。しかも指揮をとるのは、かつて朝鮮の戦いの折、名槍・日本号をめぐって愉快な話題をまいた親友・母里太兵衛だった。これは、もとより家老・三左衛門の差し金によるものだったが、さらに三左衛門は柚木、信濃の死を又兵衛の仕業の如く見せかけ、柚木の妹・千春と信濃の息子・達馬に又兵衛を討たせようと謀略をめぐらしたのだ。悲憤する達馬、愛と憎しみに苦しむ千春、又兵衛はこれらを後に、無用の争いを避けて勘左、又介、小次郎、あずさら七騎を従えて大隅城を落ちていった。三左衛門は、直ちに追跡隊を編成して又兵衛を追わせるが、この中には、達馬、千春の姿も交じっていた。又兵衛は、途中、諸大名を訪ねるが、そこには既に三左衛門の廻状が廻り、すげなく追い帰されるありさま。又兵衛は、従う家臣たちの将来を思い一度は袂を分かとうと決意するが、命を投げ出してまでも従うという家臣たちの熱意に感激し、再び行を共にすることとなる。又兵衛一行と追跡隊の第一戦は、地獄ヶ原において行われた。不意をつかれた又兵衛たちは、鉄砲隊によって苦戦するが、乱闘の最中、又兵衛は自分に斬りかかる千春と達馬の姿に驚く。激戦の末、夜を迎え、小次郎とあずさは敵陣に忍び入ると鉄砲を盗み出して手柄を立てる。しかし、又兵衛は小次郎とあずさの幸福を願い、強引に二人と別れたのだった。だが、この戦いによって又兵衛の従臣のうち三郎が捕らえられ、無残に斬り殺されるが、三郎の言葉から千春と達馬は自分達の仇が又兵衛ではなく三左衛門であることを知り、三左衛門の追跡を逃れて又兵衛の後を追った。一方、又兵衛は、ようやく敵の重囲をを脱して今は主従四騎とともに、竜野城を訪れる。城主・小笠原淡路守は、二万石ながら豊臣の恩義を忘れぬ数少ない大名の一人だったのだ。淡路守と姫君の琴姫は、又兵衛の気骨に惚れ込み、竜野二万石を又兵衛に預けるとさえ云ったが、この時、城外を三左衛門の追跡軍と松平十五万石の軍勢が包囲していたのだった。この包囲を潜り抜け、小次郎とあずさの両人も再び一行に加わり、遂に又兵衛は城を出て大阪城への血路を開かんとする決戦を挑んだ。喚声を上げて激突する両軍。又兵衛は神州号をふるい、鬼神も恐れる目ざましい活躍を繰り広げ、遂に三左衛門と対決すると見事三左衛門を槍にかけ、宙天高く跳ね上げたのだった。この三左衛門目がけて一太刀を浴びせたのは、又兵衛を追ってきた千春と達馬だったが、千春は三左衛門の腹臣・金光の不意討ちのため落命する。怒りを込めた又兵衛の槍は金光を宙天高く槍玉にあげ、千春の遺髪を抱いて、神州号と母里太兵衛の日本号を交換するや、堂々大阪城へ向かって馬を進めるのだった。

鉄火大名 
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