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鳴門秘帖　

1961（昭和36年）/1/26公開　84分　モノクロ　シネマスコープ　映倫番号：12157　
配給：東映　製作：東映

阿波二十四万石の浮沈を賭けた秘帖をめぐって、美剣士、剣鬼、隠密、女掏摸、不逞な浪人等、多彩な人物が絢爛と繰り広げる波乱激動の痛快時代劇。

ストーリー

阿波二十五万七千石の当主･蜂須賀阿波守が、一切の者の入国を禁じ、宝歴の変以来幕府に恨みを抱く公卿たちの一人･竹谷三位卿をかくまい、不穏の兆ありと見た幕府は、隠密甲賀流の頭領･甲賀世阿弥を密かに阿波へと送った。しかし、世阿弥は杳としてその消息を立ったまま二年の歳月が流れた。
幕府大番頭の息･法月弦之丞は、世阿弥の娘･千絵と恋仲だったが、二人が結ばれるためには双方の親たちを犠牲にしなければならない因習を慮り消息を絶っていたのだが、千絵の悲嘆を見かねて弦之丞を探しに旅立った乳兄弟の唐草の銀五郎の危難を救い、事情を知って再び江戸へと帰って来た。千絵の住む墨屋敷を訪ねた弦之丞は、荒れ果てた屋敷に千絵を発見できず、甲賀の後継を狙う旅川周馬の甘言に空しくきびすを返さねばならなかった。弦之丞は世阿弥救出のために家を捨て、隠密となって阿波入国を決意、目安箱を利用して将軍家治に拝謁し探索を命じられた。銀五郎は、お十夜頭巾をかぶった謎の浪人者･お十夜孫兵衛に斬られて傷を負ったが、ようやくの思いで、阿波藩下屋敷のお船手方･森啓之助に三百両の礼金で船切手を貰う手はずをととのえた。女スリ･見返りお綱は、危ないところを弦之丞に助けられ、その義侠に好意以上のものを抱いていたが、謎の浪人孫兵衛もお綱にぞっこんで、しつこくからんではお綱の眉をひそめさしていた。啓之助の誘いに応じて、弦之丞と共に料亭･川長に赴いた銀五郎は、三百両を奪われて阿波守入国警備のために集められた天童一角ら阿波藩の剣客たちに囲まれ、弦之丞の奮戦も空しく斬り殺された。一角、孫兵衛らの妖剣に危機に立った弦之丞を救ったのは、お綱がとっさの機転で叫んだ「お役人だよッ！」の声だった。弦之丞から千絵の消息不明を聞いたお綱は、オランダカルタの博打仲間･旅川周馬の行動に疑惑の目を向ける。お綱の勘どおり、千絵は周馬のために墨屋敷に閉じ込められていたのだった。地下室で千絵を探し当てたお綱は、墨屋敷に火をつけて脱出を計るが、折悪しく帰ってきた周馬に発見される。墨屋敷から出て来たせむし男の持っていた重箱から千絵の幽閉を知った弦之丞は、墨屋敷に駈けつけたが時すでに遅く、焼け落ちる墨屋敷の猛炎の中に千絵の姿が呑まれていった…。