1961(昭和36年)/2/2公開 87分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:120858
配給:東映 製作:東映
兇状背負って旅に出て四年半ぶりに戻ってみれば、故郷は悪徳どん底に堕ち、そのうえ悪ボスにいびられる薄幸の女の姿に義憤を感じ、猛然と長脇差を振い暴れる三日月安の本格的股旅時代劇。
江戸の品川で、持ち前の侠気から土地の無頼漢を傷つけ御用の風に追われた三日月安は生れ故郷九十九里浜にと帰って来た。安が村を飛び出した原因は黒潮一家の闇討ちにあってその一人を斬ったのと、利兵衛親分の娘お稲の愛が弟分の与助にあることを知ったからだった。村は、浜の利兵衛親分が死んで、網元黒潮の仁左衛門が権力を握り無法の村となっていた。安がはじめに行った利兵衛親分の家には、自暴自棄になって酒びたりの与助と、与助の子を宿しながら精神的な安らぎを見出せないお稲の冷たい夫婦生活があった。村の居酒屋茗荷屋で酒を飲む安に、仁左衛門一家がなぐりこんでくるが安の長脇差にみんな叩きめされてしまった。安の勇姿に、茗荷屋の女将おぎんは引かれるものを感じた。おぎんは、最愛の弟を旅鴉に殺され生きる望みをなくし、更に仁左衛門の暴力に体を奪われて、今ではその妾として酒に明けくれる不幸な女だった。それを聞いた安はおぎんの不幸せに同情を持った。そしてその同情は愛情に変っていった。二人は将来を誓いあった。仁左衛門は与助を仲に立てて、金で安を追っぱらおうとするが、これは逆に安の一途な性格に火をそそぐ結果となった。おぎんが安に惚れていると知った仁左衛門は、弟を斬った相手が安だと教えたが・・・。