1961(昭和36年)/3/28公開 50分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12186
配給:東映 製作:東映
全国少年少女ファンの人気を浚ったNHK人気連続放送劇の完全映画化。南の海の彼方、琉球島に勢威を誇った黄金孔雀城は海賊権太夫に滅ぼされた。そして二十年が過ぎ、代官となった権太夫の前に孔雀城の遺児・正義の黒覆面、侠盗が登場する。
今を去る四百五十年の昔――海の彼方、琉球の島に、黄金孔雀城と呼ばれる美しい王城があった。だが、この黄金孔雀城も、平村杢内の裏切りで妖術師唐津の玄九郎を従える海賊兵藤権田太夫に襲われ、一夜にして滅んだ。この乱斗の最中、二人の王子と姫は、離れ離れになり、その仲の一人は権太夫に捕らえられた。
そして二十年の年月が流れた――。ここ山城の国の代官権太夫は、自分の立身出世のためには、いかなる手段も選ばぬ悪代官だったが権太夫の息子左近は、この父の行動に反対する正義漢だった。左近はある日、何者ともしれぬ一団に襲われるが、その放った矢を見て、父の権太夫は顔色を変えた。その矢は琉球の矢だった。権太夫こそ、かつて黄金孔雀城を襲った海賊の首領だったのだ。そして、その部下には、裏切り者杢内がいたが、杢内の娘白菊は左近を愛していた。左近は、代官所の小者ながら正義の若者勘助のすすめで、自ら役人になり不幸な人々を救おうと、白菊と別れ都へ上った。
一方、権太夫は、琉球の矢を見て以来、身の危険を感じ、再び妖術師玄九郎を呼び寄せ、左近を襲ったものの正体を探らせ、その代償として、都に運ばれている黄金の一隊を襲わせた。この頃、代官所に忍び入り、権太夫らの行動を探る二人の快人物があった。一人は風の如く身の軽い侠盗風の左文字、一人は変幻自在の術を使う黒衣装の黒冠者だ。黒冠者は妹紅菊、乳母のかつら木と共に、人恋山に住む正義の剣士だった。一方、勘助の知らせで、黄金襲撃を知った左近は、黄金を守って玄九郎と戦い、身につけている孔雀の短刀でその術を破った。玄九郎は権太夫の元に飛び帰ってこのことを告げるが、この時、琉球の矢文が飛来する。矢文の主は、一剣太、美鈴ら十三騎を従えた黄金孔雀の王子の一人、火打ち丸だったのだ。玄九郎はただちに火打ち丸をおい、権太夫と杢内は、勘助の裏切りを知ってこれを追った。勘助をかばった火打ち丸の一隊と、玄九郎の輩下の天狗堂と権太夫らは、秘術を尽くして死斗を展開するが、この時、はるか彼方の闇に無数のタイマツが現われる。果たして敵か味方か?そして、また丁度この頃、逢坂山を進む左近の前に、玄九郎が、不気味な笑いと共に立ちふさがった。