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がめつい奴は損をする　

1961（昭和36年）/5/10公開　61分　モノクロ　シネマスコープ　映倫番号：12243　
配給：東映　製作：東映

喜劇界の人気者石井均の主演作品。一握千金を夢見る均一と倉田六道の底抜けコンビが、お茶漬屋の奉公人から、街頭の玩具売り、即席クリーニング屋、インチキ宗教等々を転々とし、やっと一人の女性を人気歌手に売り出し、芸能社というまともな商売にありつくが、それも仲間の女に金を持ち逃げきれてポシャン・・・という当世浮世気質あれこれを、石井均独特の風貌の中にとらえる爆笑篇。
百江均一、倉田六道の底抜けコンビに石井均と戸塚睦夫が扮し、呼吸の合ったところをみせ、芸能社の女社長石黒妙子に久保菜穂子、お茶漬屋の娘由美に山東昭子、なか子に光岡早苗、均一の下宿先の娘良子に小宮光江、歌手志望の少女城野みどりに春丘典子、鬼熊一家の子分チャンチキおけさの政に大村文武、酒くせの悪いキザな画家に今井俊二が競演をくり拡げる他、石井均一座が総出演する。

ストーリー

均一と倉田はお茶漬屋「さるかに」の奉公人である。均一は必要以上に慟くオッチョコチョイ、倉田は注意力散漫な抜け作、二人合せて一人前というコンビである。そして二人は、「さるかに」の娘由美となか子姉妹のお婿さんになる予定になっている・・・といってもそれは、均一と倉田の一方的な夢で、由美となか子は、奉公人を婿になどとは毛頭考えていないのである。ある晩のこと、均一と倉田は、酒ぐせの悪い客の吉岡にからまれている由美をかばって、大いに騎士精神を発揮したが、客に失礼を慟いたというカドで、「さるかに」の頑固お内儀、おくま婆さんの怒りに触れ、簡単にポイされてしまった。二人はその日から飯の食い上げ。均一は、下宿先の親爺山岡に泣きついたが、山岡としても大の男二人をタダで食わせる程の余裕はない。その時、山岡の娘良子は、気前よく均一に資金として3000円也を投げ出してくれた。その金を握りしめた均一は、倉田を伴い一路競馬場へと素っ飛んだ。しかし、資金はたちまちの中にパア。電車賃を余すのみになってしまった。ところが、天は二人を見捨てなかった。通りかかった令嬢風の女性が、そっと囁いた1-６という連勝馬券を、二人は電車賃をはたいて買った。それが大穴で、16万円という大金がころがり込んだのである。二人は、一夜ナイトクラブに豪遊し、女給のまさみ、雪子と共に、これ見よがしに「さるかに」へくり込んだ。ところが偶然そこでナイトクラブの常連客を見つけたまゆみと雪子は、均一と倉田をそっちのけ。得意満面だった二人は、青菜に塩という哀れさ。
仕事の方も、何をやってもうまくゆかず、遂に祈祷室といういかさま商売を開業するに至った。祈祷室と玄関をマイクロホンで繋ぎ、玄関で倉田が客に質問するのを、教祖に化けた均一がマイクロホンを通してすべて耳に入れ、さも神通力で知ったように見せかけ、客に暗示を与えるというインチキ商売である。良子は、この商売には大反対だったが、意外に客がつき大繁盛、みどりという歌手志望の女の子を助手に雇うまでになった。
ある日、二人は、夢にも忘れなかった救世主である競馬場の令嬢の訪問を受けた。令嬢は妙子といい、競馬場で二人に与えた予言は、実はでたらめ、競馬で目が出なかったウサばらしに均一と倉田をからかったのだという。それが思わぬ幸運となって二人に大金がころがり込んできたというわけ。妙子は、世の横暴な男性連と対等に生きる為に事業を始めようと、その方針を占ってもらいに均一たちの祈祷所へやってきたのである。しかし均一のインチキ教祖に未来の方針が分る筈がない。均一と倉田と妙子は、額をつき合せて考えた結果、妙子を社長とする芸能社を設立し、歌手志望のみどりを大々的に売り出す事に決定した。ところが、みどりの人気は、一向に湧かない。そこで、均一と倉田はニセの客をよそおい、さもみどりの唄に熱狂したという表情で、舞台にかけ上り彼女に花束をささげるという苦肉の策をとった。ジャーナリストは、この珍現像を“中年男を悩殺する不思議な魔力をもって城野みどり登場！と書き立てた。みどりは爆発的人気の波に乗った。ところが、ここに一事件持ち上った。均一たちの不二芸能社の景気をねたんだ鬼熊一家が、みどりを誘拐したのである。均一と倉田は、鬼熊一家に乗り込み、やっとの思いでみどりを取り戻したが、事務所へ帰ってみると、妙子は不在、有り金残らず懐中に、風をくらって遁逃した後だったのである。均一と倉田の今までの努力も水の泡。だが、気を落してはいけない。罪をにくんで人をにくまず、不二芸能社は、社長を均一、副社長を倉田とし、新機構の下、第一歩から再出発。今日もまた、ジャズ喫茶で唄うみどりに、熱狂的な花束を捧げる均一と倉田の懸命な姿があった。