1964(昭和39年)/6/14公開 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:21746
配給:東映 製作:東映
新設マーケットに追いやられようとしている食堂を経営する母は、苦学生たちの心の支えとなり、子供たちの為にすべてを投げうって苦難と立ち向う。
日本の母の典型的な肖像を大資本に圧迫される中小企業の問題を背景に感銘深く描き出した珠玉篇。
夫の死後、大衆食堂を営みながら、東大の進学を目指す長男・輝男と、美容院見習いの長女・洋子、そして小学六年生の昇を育てていた山本みき。みきの経営する食堂の常連はアルバイト学生たちで、みきはそんな学業と勤労に疲れた彼らを癒すために、味自慢のビーフ・スープを無料で食べさせたりしていた。だがそんなみきの無休の働きぶりを子供たちは心配していた。そんな折、近所に出来た大きなスーパーマーケットから、みきに食堂主任の誘いが来た。だがその月収は僅かであり、みきはその申し出を断らざるをえなかった。落胆するみきに、輝男たちは進学や就職をあきらめると言い出し、みきを困らせる。ある日、店の常連の学生が、父親の破産を苦に自殺を図るが、死にきれずにみきの元に相談しにやってきた。母親がどんなに嘆き悲しむかを丁寧に説くみきの言葉を聴き、母親の素晴らしさを改めて感じた輝男たちは、明日からもう一度やり直すことを誓い合うのだった。