1964(昭和39年)/6/20公開 97分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:13537
配給:東映 製作:東映
「脱出」「八月十五日の動乱」に続く戦記もの第三作。今回は、昭和風雲録の一頁を綴る二・二六事件を背景に、正義感が強く、部下おもいの安東大尉が憂国の志から事件を企て、銃殺されるまでの悲劇を描いたサスペンスドラマ。
昭和六年。満州事変勃発以来、軍閥は次第に勢力を強め政治の実権を握っていったが、政界、財界には醜悪な疑獄事件が相つぎ世相は混乱していた。祖国の将来を憂える安東大尉以下青年将校たちは、指導者・矢崎大将を中心に一挙革新の機を伺っていた。これを察知した永井軍務局長ら反対派は矢崎大将を罷免し、大将の崇拝者・相川中佐をも追いやろうと図るが、却って相川派のために永井は暗殺された。革新派指揮官の立場にある安東は、自分たちの行動が事実上天皇の軍隊と対決し、その為に部下を不名誉な叛乱軍の名の下にさらさねばならぬ事を恐れて断行に苦しんだが、そんな事とは知らぬ青年将校たちは安東の柔弱さをなじるのだった。そんな時、部下の塚本一等兵が家族の貧苦を知り脱走、数日後親子心中を計った。この事を知った安東は今の政治ではこの様な悲劇はあとを絶たない事を悟り、直接行動に訴える事を決意する。二月二六日早朝、降りしきる雪の中を安東隊は侍従長官邸を襲撃、岡部総理、高垣蔵相、斎田内大臣、渡見教育総監を殺害し、警視庁をも占領した。しかし天皇は重臣たちを殺害した事から彼等を叛乱軍と呼び、矢崎大将ら幹部たちは保身のため、責任を安東に押しつけて鎮圧軍を派遣した。安東隊は山王ホテルに立てこもったが、部下の命を案じた安東は単身鎮圧軍の前に飛び出して部下の救命を願う…。