1989(平成元年)/3/11公開 106分 カラー ビスタ 映倫番号:112897
配給:東映 製作:東映 / ユイミュージック
長渕剛待望の本格的主演映画第1作。哀しいまでの怒りと切ないまでの愛を胸に抱いた本物の男、一匹狼のハードな生き様を鮮烈に描き、人の絆、真の親子の愛情を高らかにうたい上げた感動のドラマは、多くの若者の賞賛を得た。監督は、数多くの作品で長渕とコンビを組む黒土三男。深い人間観察と暖かい夢のあるドラマ作りが高い評価を受けた。
その男の名は神崎勇次。群れをなすことを嫌い、組をぬけた一匹ヤクザだ。仁義よりも金がものを言う組織に背を向け、一人、夜の世界で生きる道を探し求めている。筋を通そうとするが故、あこぎな周囲に目をつぶっていられないが故に、勇次をつぶそうとする力も大きい。かつての兄貴分である阿南連合会会長・阿南もそのひとりだ。だが、勇次にとって最も気掛かりなことは、命を狙われることでも、寄生虫の様にまとわりつく老刑事・土門でもなく、まだ見ぬ息子・蓮のことであった。そんな勇次の唯一の安息といえるのが、アンティークショップに置かれた古いオルゴールだった。傷ついた時、心が寂しい時、一人勇次はオルゴールに会いにいく。はかなげで清らかなその音色、繊細で何かにつき動かされるようなその動きは、まるで自分の心と別のところで動いてしまう運命を暗示しているかのようだった。