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作品紹介

はるか、ノスタルジィ

1993(平成5年)/2/20公開 165分 カラー ビスタ 映倫番号:113625 
配給:東映 製作:ギャラック・プレミアム / ピー・エス・シー

「転校生」「さびしんぼう」でコンビを組み絶大な支持を得た原作者・山中恒と大林宣彦。前2作とは趣を異にした大人の物語を、と山中が映画のために新たに書き下ろして実現した本作。
舞台は北海道・小樽。これは前2作が大林監督の故郷・尾道を舞台にしたことから今回はそのお返しにと、山中の故郷・小樽を舞台に描かれた。
主演の石田ひかりは二役に挑み好演している。

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ストーリー

綾瀬慎介は、リルル文庫<小樽・恋シリーズ>と呼ばれる一連の少女小説の人気作家である。が、彼は少年期のある忌まわしい記憶から逃れるように故郷・小樽を離れ、以来訪れることはなかった。その<小樽もの>の人気は、綾瀬はもとより挿絵画家・紀宮の力によるところが大きかった。しかし紀宮の突然の死を契機に、綾瀬は永らく忘却の彼方に追いやっていた小樽を訪れる。そこで慎介は偶然からひとりの少女と出会う。少女は綾瀬のファンであることを告げ、名前をはるかと名乗る。慎介とはるか…中年の旅人と水先案内人の少女…。はるかは慎介に現在の小樽を案内するが、二人の行く手には影のように付きまとう古風な服装の少年の姿があった。慎介がかつて自ら封印をしたその忌まわしい記憶は、はるかと小樽の街をめぐっていくうちにすこしずつ明確な記憶として蘇ってくる。父親の事、家族の揉め事…。影のようにつきまとう少年はある日、佐藤弘と名乗る。それは驚くことに綾瀬の本名だった。弘は慎介が高校時代に三好遥子という少女が好きだったことを想いださせるかのように挑発的に示唆する。悪い悪戯と気に止めない慎介、遥子の記憶を思いだすまいとすると、執拗に追ってくる弘。そして慎介本人でしか知りえないいくつもの事実が弘の口から語られていく。また、しだいに綾瀬もはるかに、ある種の感情が芽生え、それは遥子とはるかが酷似しているせいだということを認識し始める。そして確かに弘が慎介自身の高校時代の自分であるということも。慎介とはるか、そして弘との不思議な三人の関係の中で、失われた慎介の過去の記憶と対峙する心の旅がはじまる…。そしてこの対決に終止符が打たれたとき、綾瀬慎介はもう一度、佐藤弘という本名で生きていくことを決意するのだった。
『生きることには罪の匂いがする。許されて揺籃の安息を得るところ、それが、――古里である。小樽、わが愛』作家・佐藤弘は後年、万感を込めて著書にこう記している。

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受賞歴

第17回日本アカデミー賞(最優秀音楽賞)

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