1992(平成4年)/12/12公開 117分 カラー ビスタ 映倫番号:113767
配給:東映アストロフィルム 製作:日露映画製作委員会 / ウィルプロダクション / ケンタウルス
1880年代、絵の勉強のためにロシアに渡ったひとりの若い女性がいた。“山下りん”。日本最初の女流洋画家である。
本作品は天才的な画家でもなく、特に絵画史上に大きな業績を残したわけではないが、明治の動乱期から大正ロマンの時代を生き抜き、自立した一人の女性の生涯を劇的に描くいた日露合作映画である。
1881年3月。ロシアの首都ペテルブルグにある聖イサク寺院の大聖堂で「山下りん」は、飾られているフレスコ画やイコン(聖像画)にみとれていた。彼女は、イコン画を学ぶためにたったひとりでロシアを訪れ、修道院に留学していた。この日、ロシアの皇帝アレクサンドル2世の暗殺事件が起こった。「りん」の入ったノボデビッチ女子修道院では、10名足らずの修道女が美術アカデミーのヨルダン先生の指導のもとイコンの勉強をしていた。イコンを油絵と同じ西洋画と思っていた「りん」にとって、そこでの勉強が次第に苦痛になっていった。先生も修道女達も好意的だが、イコンを好きになれず焦っていた彼女は、ある日連れて行ってもらったエルミタージュ美術館でラファエロの描いた『聖母子像』に魅せられてしまう。そして、模写するため美術館に通いたいと先生に頼み込む。「りん」は模写の許可を得てひんぱんにエルミタージュに通い始めるが、この事が他の修道女たちの反感と嫉妬を買い、しだいに孤立するようになってしまう。その頃、皇帝暗殺に加わったペテルブルグの大学生アレクセイ、ヨナが復活祭に修道院を訪れてきた。久しぶりの「りん」との再会だった、アレクセイに対して「りん」はほのかな想いを寄せていたのだった。しかし、ある日突然、修道院の方針で「りん」は外出禁止を申し渡されてしまう。