2013(平成25年)/5/25公開 122分 カラー シネマスコープ 映倫番号:119402 G
配給:東映 製作:「くちづけ」製作委員会
元人気漫画家・愛情いっぽんの娘マコが、死んだ。天使のように愛らしく優しい娘だったマコ。仲良しのうーやんと結婚しようとしていたマコ。そんな彼女の命が、なぜ、この世から消えなくてはならなかったのか?そこには、父娘の悲しい愛情の物語がありました。「くちづけ」は、海よりも罪よりも深い親子愛の物語です。原作、脚本は、『花より男子』『愛と誠』などのヒットメーカー宅間孝行。笑いと涙を巧みに織り込んで、心地よくラストへ観客を運んでくれるストーリーテラーである宅間が、実際にあった事件を元に、自身の劇団〈東京セレソンでラックス〉(2012年に解散)のために書き下ろし、24,000人もの観客を号泣の海に溺れさせた珠玉の戯曲を、堤幸彦が映画化しました。『くちづけ』は、堤と宅間、2人のエンターテーナーが、笑いにあふれた物語で、人間への深い眼差しをくるむことで、よりたくさんの人たちの胸を打つ意欲作です。
愛情いっぽんは、かつて「長万部くん」というヒット作を生み出した漫画家。しかし、娘マコを出産してすぐに亡くなった妻に代わり、男手ひとつでマコを育てるために漫画家を休業して、もう30年……。30歳ともなれば、どんな箱入り娘だって父の手から離れることができるはず。なのに、なぜ?マコの心は、ずっと7歳の子供のまま止まってしまっているのです。心優しく純粋なマコですが、誰かの助けなしでは生きていけません。自立できるよう施設に入れようとしても、いつもすぐに逃げ出してきてしまう繊細なマコには、いっぽんしか頼れる人がいないのです。ある春の日、いっぽんは、「ひまわり荘」という自立支援を目的とした知的障害者が集団で生活するグループホームに、住み込みで働くことになります。そこには、主人で医師の国村先生、その奥さんの真理子と娘のはるか、ちょっと毒舌家のスタッフ・袴田さん。入居者の、やたらテンションの高いうーやん、写真が趣味の仙波さん、背の高い頼さん、シモネタを連呼するのが大好きな島チンがいて、みんなで楽しく暮らしています。うーやんは、いっぽんをうーやんの妹・智子の婚約者と間違えるようなおっちょこちょいですが、いっぽん以外の男性をこわがるマコが、うーやんにだけは心を開いて、いっぽんを驚かせます。ひまわり荘では、みんなのびのびと自由。はるかの友達・南が、みんなを「キモい」と言っても負けません。逆に南をやっつけてしまいます。ひまわり荘の元気な仲間たちと触れ合っていくことで、自分たち二人しか味方がいなかったいっぽんとマコのこわばった気持ちが、少しずつ溶けていきます。マコは発作を起こさなくなりました。ひまわり荘をいっぽんに紹介した編集者・夏目は、いっぽんの漫画の大ファンで、復活してほしいと心から願っています。このまま、ひまわり荘で安定した生活を取り戻せたら、その夢もかなうかもしれません。そんな時、いっぽんに病気がみつかります。いっぽんの心配をよそに、うーやんはマコと結婚すると宣言します。はたして二人は無事に結婚できるのでしょうか? そして、いっぽんはもう一度漫画を描くことができるでしょうか?