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おかあさんの木

MOTHER’S TREES

2015(平成27年)/6/6公開 114分 カラー ビスタ 映倫番号:120286 G
配給:東映 製作:「おかあさんの木」製作委員会

原作は児童文学者、大川悦生(98年没)著「おかあさんの木」(ポプラ社刊行)。発表から40年を経ましたが、その間幾度も小学校中学年から高学年の国語教科書に採用されてきたお話です。映画では、おかあさんとこどもたちのお話を中心に、戦時下に生きた普通の人々の物語が描かれます。決して声高ではありませんが、戦争が人々にもたらす悲しみ、そしてそれ以上に普遍的な、いつの時代にも通じる“母と子の情愛”がそこにあります。主演は鈴木京香。監督は磯村一路。戦後70年という節目に当たる2015年初夏、すべての子供を戦争に奪われたおかあさんの愛が、おかあさんを想うこどもたちの愛が、観客の頬を熱く濡らす泣きのエンタテインメント。

おかあさんの木
(C)2015「おかあさんの木」製作委員会

ストーリー

現代――。土地の整備事業が進むのどかな田園地帯に、凛と佇む7本の古い古い桐の木。伐採の許可をとるべく、役所の職員2人が向かったのは美しい老人ホーム。彼らを待っていた老女・サユリは、時折朦朧とする意識の中、静かに力強くつぶやく。「あの木を切ってはならん…。あれは…おかあさんの木じゃ…」そして彼女は、ある悲しい物語を語り始めた――。今から100年ほど前。長野県の小さな田舎村。若く美しいミツは、かねてから一途な想いを寄せていた謙次郎とめでたく祝言を挙げた。謙次郎の親友・昌平をはじめ、村中から祝福された結婚生活。ミツは一郎、二郎、三郎、四郎、五郎…と次々に元気な男の子を生み、決して裕福とはいえない暮らしぶりではあったが幸福だった。六人目の男の子・誠だけは、子宝に恵まれなかった姉夫婦に懇願され密かに里子に出したものの、さらに末っ子の六郎まで生まれ、家の中はいつも賑やか。優しい夫とヤンチャな息子たちに囲まれて、ミツはいつも笑顔で忙しい毎日を過ごしていた。しかしその笑顔が消える出来事が起きてしまう。謙次郎が心臓発作で、急逝したのだ。愛する人のあまりに突然の死に、呆然とするしかないミツ。そんな彼女を支えたのは、6人の息子たちだった。ミツは健気な子供たちの支えによって、少しずつ立ち直っていく。それから数年後。すっかりたくましい青年に成長した息子たちを、今度は“戦争”がミツから奪う。まずは一郎、そして二郎…。「お国のため」という名目で華々しく出征してゆく息子たちを複雑な思いで送り出すミツは、彼らが戦地に赴く度に1本ずつ桐の木を庭に植えてゆく。「一郎、二郎、元気でいるかい?今どこにいる?きっと生きてるだろうない?」まるで木に息子1人1人の魂が宿っているかのように、優しく語りかけながら…。ある日、ついに五郎にまで出征の命令が下る。既に3人の息子を亡くしていたミツは、これまでの感情が爆発。汽車で戦地に旅立つ五郎の足元にすがりつくという「非国民」的な行動に出てしまい、憲兵に蹴り上げられ尋問を受けることに。だが周囲の助けで、なんとか無事に帰宅することができたのだった。長い長い戦争が終わっても、7人の息子たちは誰一人戦地から帰ってこなかった。それでもミツは7本の桐の木を大事に育てながら、いつか誰かは戻って来ると信じて待ち続けた。いつまでもいつまでも…。

おかあさんの木
(C)2015「おかあさんの木」製作委員会
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