2018(平成30年)/3/10公開 126分 カラー シネスコ 映倫番号:121024 G
配給:東映 製作:「北の桜守」製作委員会
「北の零年」「北のカナリアたち」に続く”北の三部作”最終章。多くの名作が生まれた北海道の雄大な風景の中で、大戦末期から高度経済成長期という激動の時代を生き抜いたある親子の物語を描く。主人公・江連てつを演じるのは本作が120本目の映画出演作となる吉永小百合。そのほか豪華キャストが顔をそろえ、監督は「おくりびと」の滝田洋二郎、脚本は”北の三部作”全作品を手がける那須真知子。四季折々の北海道で縦断ロケーションを行い、壮大な風景をスクリーンに焼き付ける。北の史実に心を揺さぶられる大作。
1945年、南樺太に一輪の桜が咲いた。やっと咲いたその花は、江蓮てつたち家族にとって希望の花のはずだった。その年の8月、ソ連軍の侵攻が起こる。てつは息子二人と共に樺太を脱出。決死の思いで北海道の網走へと辿り着く。そんな満身創痍の親子を待っていたのは想像を絶する過酷な生活だった。意識を失うほどの厳しい寒さと飢餓、その中を親子は懸命に生き抜くのだった。
1971年、成長した次男の修二郎は米国で成功し、日本初のホットドックストアの日本社長として帰国。15年ぶりに網走を訪れた。そこには長男の姿はなく、一人、夫を待ち続けながら慎ましい生活を送る年老いたてつの姿があった。修二郎はてつを札幌へと連れ帰る決意をする。息子夫婦と暮らし始めたてつだったが、薪を使い米を炊き、近所から苦情を受けたり、金を払わず八百屋から葱を持ち去ろうとするなど、不可解な行動が目立つようになる。年老いたてつは、戦禍によるPTSDの後遺症に陥っていた。そして、てつ自身もその変化を自覚していく。そんなある日、てつが突然、姿を消す。立派になった修二郎に迷惑をかけたくないと思い、一人、網走に戻ったのだ。だが、網走の住宅はすでに取り壊されていた。帰る場所を失ったてつ。てつのために一緒に寄り添いたいと思う修二郎。二人は、北海道の大地を巡る過去への道行を始める。その旅は、親子の抱える禁断の記憶の扉を開けてしまうのだった。