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喜劇は終りぬ

1946(昭和21年)/1/10公開     
配給:松竹 製作:松竹株式会社

大庭秀雄の演出作品。

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ストーリー

大戦中、我国においては多くの統制会社が続出した。それは資本家が自己擁護のために官及び軍と結託して生まれたものである。従ってその中枢メンバーは概ね軍人及び官僚人によって占められていた。一九四○年のある夜、正吉の家ではささやかな祝宴が催されていた。それは正吉が明日から木村統制会社の某位置につくためだった。当時、一般の風潮として、そうした役員になることは大変名誉なことと思われていた。隣人、孝太の妻などは大変それを羨んだほどだった。正吉の娘秀子と隣家に下宿している画家の上田とは人知れず愛し合っていた。上田は空襲下にあっても秀子の美しさを讃えた。また戦争以来の日本が美ということを口にするのを避けたがっている傾向を彼は慨いた。数日後、統制会社における正吉は生来の善良でユーモラスな性質から一般の人々の要求なども快く受け入れ、女事務員などにもやさしい人として好評だった。しかし、このことは上役で官僚出身たる奥村や古屋には面白くなかった。なぜなら奥村等によれば現在の日本を導いているのは軍人と役人である。いやしくも役人たるものは軍人と同様、威厳をもって人民を威圧するものでなければならなかったからである。正吉は烈しく叱責された。そして、その気軽なユーモラスな態度を捨てるように命じられた。正吉は困った。しかし命令である。彼はやむを得ず威張る練習をして見た。何も知らぬ彼の妻子は夫の変貌を不審に眺めた。幾日かたち、正吉は辛うじて奥村らのいわゆる「役人の風習」を身に装うことが出来るようになった…。

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