1951(昭和26年)/3/1公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は石田清吉、脚本は伏見晁で、斎藤寅次郎が監督に当たっている。出演は花菱アチャコ、並木路子、鶴田浩二、柳家金語楼、他に清川虹子、坂本武、飯田蝶子、堺駿二が助演。
二十年前アメリカへ渡航、ハワイで成功したと伝えられる花村良造が帰国するとの知らせに、喜作と順造の兄弟は待ちかまえていて甘い汁を吸おうとしていた。娘芳江をあずけられ、二十年間手塩にかけた赤の他人の鰻屋の金之助夫婦だけは、可愛い芳江を奪われるので良造の帰国を喜ばなかった。しかし良造が案に相違して、裏ぶれた姿で帰って来たとき、一番親切にしてやったのは金之助たちで、実の兄弟たちは手のひらをかえすようにして、良造を養老院へ送り込んだ。実際は身内の真意を試すため貧しく装っていた良造は、養老院に莫大な寄付をして改築、クリスマスパーティに華々しく関係者一同を招待して自分の身分を明かし、それぞれの誠意に応じて贈り物をした。その上反対していた芳江の結婚の相手が自分を救ってくれた栗田青年と知って喜んでその結婚を許し、アメリカへ連れて行こうと約束した。けれど金之助夫婦の芳江への愛情を知ると、いずれ晴れてみんなを常夏のハワイへ招待出来る日の来ることを願って、また一人彼の第二の故郷アメリカへと帰って行った。