1952(昭和27年)/10/30公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は市川哲夫、あをいき・くらぶ同人の原案で、鈴木兵吾、伏見滉、沢村勉の三人が共同で脚本を書き、斎藤寅次郎が監督し、服部幹夫が撮影している。主な出演者は、大木実と千秋みつる、境駿二、田端義夫、大泉滉と伴淳三郎、清川虹子など。
圭子は可憐な港の花売娘で、盲目の母しげと二人で暮らしていた。唯一の望みは、満州から引き揚げの途中行方不明になった兄浩が無事でいてくれることだったが、最近消息がわかり、貨物船の船員になって、この港へ帰ってくるという便りに、近所のたばこやの亀吉親娘をはじめ、カンカン蟲の三平までがわが事のように喜んでくれた。船は入港したが、密輸に加担しなかった浩は上陸出来なかった。同じ船のハチ公は上陸したが友達の三平とブラック・ローズというバーへ飲みに行って有金をポーカーですっかり巻き上げられた。バーのマダム龍子の息子京吉は大変なイカレポンチであるが、圭子を熱愛していた。息子可愛さに龍子はバーの支配人黒川を使って金づくで圭子を京吉のものにしてやろうとした。浩は母や妹に会いたい一心で船を脱走しようとして岸本一味に見つかり海に転落して死んだ。ブラック・ローズの用心棒良太はこれを目撃したが、黒川の命令で圭子を迎えに行って何も知らない近所の連中から浩と間違えられ大歓迎を受けた。圭子は盲目の母をよろこばせたいばかりに、良太に頼んで一夜浩の身代わりになってもらった…。