1953(昭和28年)/7/14公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
津路嘉郎のオリジナル・シナリオによって穂積利昌が監督した。撮影は中島信雄。川喜多雄二、草間百合子、榎本美佐江、坂本武、伊沢一郎、渡規子らが出演。
下町では名の知れた手縫い足袋の老舗柏屋。若旦那修一は古風な暖簾の跡継ぎが嫌がり、大学を出てから、とある玩具会社に就職しているが、これは未亡人の老母とみや、一番職人平造の頭痛の種である。平造の娘美佐子は小花を名乗って芸妓にでているが、幼馴染みの修一を慕い、とみ、平造も二人が結ばれることを願っている。ところが修一は会社でわがままな女社長まさ子をやりこめ、尻にしかれている養子の専務荘八を助けたため、近代的な令嬢京子と知りあった。彼女はキザな金持ちの息子との結婚を強いる横暴な母をやっつけたこの青年に、惹かれている。スケートにいったり街を散歩したりで、修一と京子は日毎に親しくなった。平造は娘の気持ちを察して気が気ではない。そうするうちに修一と京子は相談して弱気な荘八を料亭に誘いだし、酒をどんどんつぎこんだ勢いでまさ子夫人を電話で呼びつけ、叩かせようとする。一方、同じ料亭の他の室では美佐子の姉芸者菊丸が将来を誓って永年入れあげた男・片山に現金な別れ話をもちだされて、愁嘆場のまっ最中。傍らには美佐子も大憤慨、とあって片山は耐えかね、玄関まで逃げ出したところを、腹を立てて駆け付けたまさ子社長とバッタリ。