1953(昭和28年)/7/22公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
沢村勉の脚本により川島雄三が監督に当たった。竹野治夫、木下忠司がそれぞれ撮影、音楽を担当。SKDの草苗光子、小林トシ子、大木実、三橋達也、若杉英二、高千穂ひづるなどが出演。
初夏の一日。タイピスト牧原溪子は、親友の戸川葵を誘って片山津の恋人小泉孝之の家へ遊びに行った。小泉の同僚の佐竹徹、妹瑞枝、その恋人アルバイト学生北信平も同行した。その夜、北と瑞枝は葦の小蔭で情熱を燃やし、佐竹と葵はクリスチャンである事から何か心をひかれたが、接吻を求める小泉に腹を立てた溪子は家へ帰り、後悔して謝る小泉をその後も許さなかった。ある日佐竹から愛情を告白された葵は、かつて過失で純潔を奪われた事を悩んだ挙句、評論家の母文子が受け持つ新聞の人生案内に匿名で投書した。総てを恋人に告白せよとの解答に、葵は舞踊会の席上で佐竹に打ち明けたが彼は困惑して席を立ち、しかも真実を知った母は意外にも激しく怒った。一方、佐竹は瑞枝が北の子供を宿している事を知って激昂する。その頃葵は自殺を謀って病院に収容されていた。「汚れた私が貴方のお気持を迷わせた事申訳ありません。」駈けつけた佐竹は遺書を読んで心中固く結婚を誓った。手厚い看護に蘇生した葵の姿を見て感動した小泉と溪子も仲直りした。真夏の午後、全快した葵、佐竹等に見送られて新婚旅行に発った溪子と小泉、その列車を見守る北と瑞枝、みんな幸福そうだった。