1953(昭和28年)/10/27公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
大佛次郎の原作を中山文夫が脚色し、松田定次が監督している。撮影は川崎新太郎の担当。キャストは美空ひばり、北上弥太朗、戸上城太郎、永田光男、堺駿二、横山エンタツ、淡路恵子など。
甲州の山岳地帯、台カ原では豪族玉置家と角倉家の勢力争いが激しかった。角倉の番頭黒川銑次郎に対し、短銃の上手い玉置大三郎は、炭焼き三吉に授けられて僅かに先祖伝来の山々を守っていた。江戸で修業を終えた大三郎の兄伊織は、帰途、角倉の一人娘小弓の危難を救ったが、小弓を迎えに来た黒川らの襲撃に会い、大三郎が救援に駈けつける隙に兄弟の家は焼かれてしまった。更に黒川は、無理矢理小弓を妻にする事を承諾させた上、悪代官を抱きこんで伊織を呼び出し拷問にかけた。必死に争った伊織は大三郎と共に三吉の小屋へ逃れ、越中守へ直訴に及ぶが、黒川一味の山狩りにより危機が迫った。その頃台カ原調査の命を受けた越中守の腹臣並木秋之助が到着し、黒川の不正を知った。激しい射撃戦を続けていた伊織らが弾丸もつき果て、黒川に捕えられ正に殺されんとした時、越中守が駈けつけ黒川一味は一網打尽になった。かくて台カ原の両家は和解し、秘かに想い合っていた伊織、小弓も結ばれ、山々に再び大三郎の明るい唄声が美しく流れた。