1953(昭和28年)/11/23公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
今は亡き劇作家真山青果の股旅作品「荒川の佐吉」より、鈴木兵吾と永江勇が共同脚色し、堀内真直が監督している。出演者は高田浩吉、安部徹、喜多川千鶴、宮城野由美子、澤村國太郎など。
江戸の大観分鐘馗の仁兵衛身内の三下奴大工の佐吉は、使いで甲州へ旅立ったが、その直後親分仁兵衛はごろつき浪人成川郷右衛門に片腕を落とされ、乾分と縄張りを奪われてしまった。落ち目の仁兵衛は豪商丸屋総兵衛の思われ者になっている娘のお新が生んだ盲の子卯之吉の処置を佐吉に謀り、妹娘のお八重と一緒にさせようとするが、勝気なお八重は三下の女房になるのはまっ平だと家を飛び出した。その後仁兵衛は再起しようと焦って以前の乾分徳兵衛に殺され、佐吉はもとの大工をしながら一人でも卯之吉を育てる決心をした。それから六年、今は卯之吉を欲しくなった丸総の力ずくでの掛け合いも頑と断って、佐吉は卯之吉の成長だけを楽しみに一心に働き、卯之吉を名医玄白にかける為、金ほしさに心機一転やくざの世界に帰る。深川から芸者に出ていたお八重は、持ち前の意地っぱりから佐吉には嫌がらせばかり言っていたが、その実、仇の成川に身をまかせても卯之吉と佐吉の為に尽くそうとしていた。