1953(昭和28年)/12/29公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
大谷浩通製作の股旅中篇で、中山隆三のオリジナル・シナリオから小林桂三郎が監督した。撮影は赤松隆司、音楽担当は加藤光男である。出演は若杉英二、榎本美佐江、藤代鮎子、桂小金治など。
板鼻の音造親分の鉄火場で、疾風の又七は、お神楽半次のイカサマをあばいて悠然と立ち去った。半次は先廻りして又七を待ち、さいころで真剣勝負を挑んだ。又七は負けたが、半次のわざには感心した。渡し守源兵衛の茶屋では、音造や乾分の野晒しの百助、東条辰之進が払えぬのを承知の借金の強談判の真最中だった。十手取縄とイカサマ博奕の二足草鞋を履く音造は、娘のお雪が目当てである。又七は源兵衛を救った。お雪や弟の亥之吉は又七に感謝したが、今は堅気になっている源兵衛は喜ばなかった。料理屋「桔梗屋」の酌婦お吉は又七に参っていた。又七は源兵衛が回復するまで、渡舟を漕いでやった。音造一家の圧迫は烈しくなり、お雪と亥之吉は又七を心から慕い信頼した。源兵衛は冷たかった。音造一家の無暴が近所にまで及んだ時、源兵衛は又七に彼が昔やくざの義理で旅に出た留守に女房が自殺したこと、娘は堅気の家へ嫁がせたいこと等すべてを語った。又七はお雪を愛していることを語った。音造の酒宴の席で、半次は音造が源兵衛の女房に惚れて、言いよったのでお雪の母が自殺したと聞いた。半次は又七に知らせようとしたが辰之進に切りつけられてしまう…。