1955(昭和30年)/5/3公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
松山善三の脚本を小林正樹が監督し、森田俊保が撮影を担当。出演者は久我美子、佐田啓二、木村功、小林トシ子、野添ひとみのほか、織本順吉、田村秋子、小沢栄、佐竹明夫など。
桜子は祖母と東京田村町に花屋「千草」を経営している。亡兄の友人の今西ドクトル、キャバレーの太鼓叩き仲尾、鉛工場で働く袴田等は折々訪れ、今西と桜子は相愛の仲である。ある日祖母は交通事故にまき込まれ、老紳士の親切で今西の病院に送られた。仲尾はアプレ振って強がっているが根は淋しがりやで、幼友達由美子を自分のキャバレーに勤めさせ、彼女の子供や病気の母の面倒を見ていた。交通禍が縁で老紳士と祖母の交際が始まり、度々店を訪れるうちに桜子を次男悠二の嫁にと言い始めた。悠二とドライブに出た日、桜子は今西が由美子と一緒にいるのを見かけ、その上今西が秋田の伝染病研究所に転勤と決まり、一人で行くと言うのを桜子は由美子の為にだと思ってしまった。一方袴田は工場主任佐藤と喧嘩し傷を負わせ、警察に連行された。秘かに彼を慕う今西の妹紀久子は彼の身を心配した。仲尾は今西が由美子の母を診察に行ったことで桜子に誤解されたことを知り桜子の気持を和げようと務めた。又今西は由美子が仲尾を愛していることを確かめた。今西の出発の日仲尾の尽力で警察を出た袴田は、紀久子等と彼を駅に見送った。桜子は今西の勤務先を見に一緒に行くことになり、二人を乗せた汽車を陸橋の上から仲尾、由美子、その子供の三人が見送っていた。