1955(昭和30年)/6/1公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
新聞連載の小説を斎藤宗一が脚色、堀内真直が監督、西川亨が撮影を担当。主な出演者は川喜多雄二、宮城野由美子(松竹入社第一回)野村浩三、井川邦子のほか日守新一、清川虹子、新人清川新吾など。
写真家森口司郎は日本舞踊の師匠恵美と結婚したが、一間きりの愛の巣に彼女の母親おまさが同泊することになって大弱り。惠美の実家は料亭だが、父の精吉は競馬狂で、息子の精一郎は学校で落第ばかりしている。母は息子のことで主人と喧嘩して家出したのだが、惠美のケチぶりに閉口して家へ帰ってしまう。精一郎は呉服屋の娘春子と恋仲である。ところが春子には番頭との縁談が持ち上がっている。ある日、森口の働く事務所に贔屓客の東陽子が訪れ孤児を引き取って育てているから、時々身代わりのパパになってくれと頼む。陽子の亡夫の弟斎藤は東興行の女社長である彼女を、色と欲との二筋から狙っていた。渋谷の花柳街で森口は親友の菱川から、歌のうまい芸者百合江を紹介された。子供のため芸者を止めたがっている百合江を、森口は東興行の歌手に推薦した。ところが惠美は夫が芸者と酒を飲んだのを怒り、実家へ帰り離婚を申し出た。森口はそれを無視したか、惠美はヤケになって半沢と芝居見物に行き、劇場で陽子と一緒にいる森口を見てなお立腹する。そこへ精一郎が春子と熱海へ家出した知らせがあり、一同は驚いてかけつけた。そこで斎藤が百合江をすてた男だと分かる。斎藤も悔悟して妻子を引きとり、精一郎と春子の結婚も許され、惠美の誤解もとけた。