1956(昭和31年)/5/18公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
雑誌“小説倶楽部”所載の高木彬光の原作『変化お役者雀』を堀内真直が高橋治と共同で脚色、同じく堀内真直が監督した維新前夜を背景に男の友情を描く時代劇。撮影は倉持友一。主な出演者は大木実、中村芝雀、紙京子、雪代敬子、近衛十四郎、井川邦子など。
徳川末期の江戸。勤皇派薩摩屋敷の益満休之助が糸を操る“御用盗”一味は、八百八町の民心を恐れさせていた。一方、休之助の僚友片桐吉三郎は、念仏吉三と名乗り、世間の目を欺いていた。幕府方の北町奉行稲葉丹後守は、娘菊枝の許婚沢村京之進に、隠密となって御用盗に入り込み動静を探るよう懇願した。その後間もなく、江戸には山雀源太と呼ばれる怪盗と“御用盗”や“山雀”の名を騙る女連れの怪盗が出没し、市民の恐怖は増大した。これを知った益満休之助は幕府への不信が増すと喜んだが、町人生活の経験を持つ吉三は罪科もない町家を荒す女連れの賊に激しい怒りを感じた。山雀源太とは京之進の仮の姿で、女連れの賊は私慾に駆られた犬上一刀斎と情婦お久だった。源太は、ある夜吉三と逢ったのを機会に益満と会見し、御用盗一味に加わった。吉三はある日、彼を慕う昔馴染の船宿の娘お七に出会った。丹後守は源太に益満の捕縛を命じたが、益満をおびき出した源太の奇計も吉三の出現で失敗した。この頃、源太の素姓は吉三に見破られていた。やがて大政奉還から幕府追討の勅令が下り、西郷吉之助の使者をうけた益満は江戸城焼き打ちを吉三らに命じた。これを阻止せんとした源太は吉三と対決したが、彼の説得に新生を誓った。丹後守の家臣大島三之丞は、偽御用盗の一刀斎とお久を斬ったが、自分もお久の短銃に倒れ、目明し銀次に抱かれ絶命した…。