1957(昭和32年)/3/20公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
鈴木兵吾と本山大生のオリジナル・シナリオを倉橋良介が監督、服部幹夫が撮影を担当したサスペンス・ドラマ。主な出演者は田村高廣、名和宏、嵯峨三智子、山鳩くるみ、水原真知子、高野真二。ほかに石黒達也、森美樹など
五年前、ヤクザの義理で親分古城が犯した白川殺しの罪をかぶって入獄した黒沼清は、網走刑務所を看守を殺して脱獄、いま妻の光江と入獄後生れた清一に一目会いたく故郷大阪に潜入した。鉄格子の中で侵された結核の清の身には十万円の懸賞金さえかかっている。ネオン瞬く大阪。その片隅には、新人作曲コンクール審査発表を明晩に待つ弟の勉。それに今は足を洗って清の留守宅の面倒を見る弟分の北村真吉。白川の妹で、清を兄殺しの犯人と信じ古城の世話をうけるミュージックホールのスター通子などがいる。彼女は、また真吉とは相愛の間柄。厳重な警戒網を突破して清は我が家に着く。ところが眼を患う清一を抱え、生活苦にやつれた光江を見て憤然、古城の言葉を信じていただけに怒りも強く早速古城の邸へ乗込む。だが奸智にたけた古城は清一が光江と真吉の間にできた子供だと騙し清をけしかけて、彼が真吉を殺すことによって通子を自分のものにしようと計った。その頃真吉の家に通子が来ていた。彼女は古城から離れ真吉にすがろうとしていたが、真吉の妹芳子は頑として通子を受入れなかった。それというのも、通子と古城の関係から兄に災いのかかるのを防ぐためと、彼女自身、通子の兄の仇である清の弟、勉を愛していたからだ。さて翌日の六時、通天閣の屋上で、光江と真吉に会った清は古城にそそのかされた通り、案の定、真吉に飛びかかった…。