1957(昭和32年)/4/2公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
毎日新聞夕刊に連載され現代の感覚を巧みに盛りこんだ新型式のホームドラマとして反響を呼んだ飯沢匡原作の映画化。猪俣勝人が脚色し、番匠義彰が監督した風俗諷刺喜劇。撮影は生方敏夫。主な出演者は佐分利信、杉村春子、石浜朗、野添ひとみ、ほかに中川弘子、渡辺文雄、朝丘雪路、小林トシ子、山茶花究、北竜二など。
大学教授の佐藤博士はあるにわか雨の夕方、隣家のお妾さん加島多美子と相合傘になってから急に親しくなり、独立しようとしている彼女の相談相手となる。佐藤家の夫人とみ子は売れっ子の映画脚本家、宿に缶詰で旦那や息子の弘之のことは内弟子の酒巻女史に任せっきり。弘之は右隣の相原家を切り盛りする純情娘の鈴子が好きなくせに、一軒おいて左隣の肉体女優澄川沙由子にウツツを抜かしている。旦那と別れて画のモデルになりたいと博士に相談する多美子、とみ子夫人の助手の安川青年と沙由子の仲を妬いて彼女に突如求婚する弘之、それと知って博士に泣いて訴える鈴子--そうした事件が間抜けな私立探偵から真偽とりまぜて熱海の宿に報告されたのでとみ子夫人は心配の余り帰宅する。その頃博士は多美子の純清さと色香に年甲斐もなく浮気心を起こしたが、彼女の美しい眼でたしなめられてしぼんでしまう。一方弘之は熱が嵩じ、沙由子と安川青年に暴力沙汰に及び拘置されてしまった。狼狽するとみ子夫人の味方は鈴子だった。博士も八方手を尽し、足繁く差入れや激励に来る鈴子に弘之の熱病もようやくさめてくる。多美子がとうとう独立して新生活への第一歩としてささやかなアパートに越していった夜、弘之が釈放される。