1958(昭和33年)/3/11公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
野村芳太郎が山田洋次と共同で脚本を書き、自ら監督したサラリーマン映画。撮影は井上晴二が担当した。主演は田村高廣、南原伸二、渡辺文雄、杉田弘子、石浜朗。その他に三井弘次、中川弘子、三好栄子、宮口精二などが出演。
太洋ゴムの人事課に、陸奥吾朗は九州支社から転勤してきた。課員は、万年課長の亀野、立身出世主義の鮎川、酒好きの好人物鱸、のんきな竜野など。吾朗の住むことになった独身寮には、エレベーターガール・のり子と恋仲で永すぎた春を続ける経理課員貝塚、寮の小母さんのお気に入りで娘の婿にと見こまれた厚生課員鱒見などがいた。みんなそれぞれ違った人間だが、懸命に一月働いてわずか一万三千円の安月給であることは共通していた。会社の代表的美人は、ミス太洋ゴムの帆立なぎさとイカレ娘の田西マキだった。なぎさは、吾朗の同僚浅利と恋仲だが、気の弱い浅利の日和見主義的社員振りをあきたらなく思っていた。吾朗がフンドシを買いになぎさの父の洋品店に行ったので、二人は親しくなった。鮎川が盛んにゴマをする鮫島総務部長と蛭田経理課長とは、香港への生ゴムの密輸を企てていた。吾朗は、蛭田に追い廻されるなぎさを救い、鮎川と絶交してしまった。なぎさの母の病気で、一万円の金の借用を申し込まれた浅利は、何故かはっきり答えない。蛭田が用立てを申し出、代償になぎさの肉体を求めようとしたが、吾朗が郷里への送金の分を用立て、二人は益益親しくなった。入社試験の係になった吾朗は、社長紹介の大事な取引先の息子のカンニングを摘発した。社長の鶴の一声で、カンニング生は特別入社し、代わりに成績優秀な浅利の弟高彦が落とされてしまった…。