1958(昭和33年)/5/20公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
菊島隆三に内川清一郎が参加した脚本を、内川清一郎が自ら監督した異色現代劇。撮影は太田真一。主演は大木実、高千穂ひづるをはじめ、杉田弘子、仲代達矢、菅佐原英一、千田是也など。
京都の祇園、絢爛眼を見張る“都おどり”の舞台。だがその裏には時代に逆行する、封建的な格式と慣習があった。不幸の境遇から、祇園の社会に飛込んだ京子は、世の中でお金しか頼れぬと信じていた。それには“都おどり”の主役をとらねば。しかし京子には何の後ろ立てもなかった。野望に燃える京子の前には、祇園きっての芸妓花恵に秀勇がいた。その影には関西財界の巨頭岸井や画家の芦田がいた。彼女はその愛弟子森を通じて、芦田に近づいた。彼女は自分の体を代償に建築庁の役人真崎から、多額の金を引き出した。そんな京子にも、医学生の恋人秋本高志がいた。彼女の奔放な行動に冷たい眼を向ける、古風な花恵をしり目に、真崎が公金横領で逮捕されると、今度は秀勇のパトロン岸井に接近した。岸井は秀勇に想いを遂げられぬと知るや“都おどり”の主役を代償に京子を我が物にした。そして、京子は高志との将来のために、医師開業の資金を出してやった。“都おどり”の日。番組の中に京子の名前はなかった。それは封建的な格式と、岸井の裏切りのためだった。半狂乱になった京子は高志の許へ走った。しかし、高志にはすでに院長の娘との結婚が決まっていた。彼はせめてもの償いと、彼女に金を返した。悲しみにくれる京子は、自殺をはかったが、一命を取り止めた…。