1958(昭和33年)/11/3公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
中野実の戯曲「第二の家庭」(新派上演)を斎藤良輔が脚色し、番匠義彰が監督した風俗喜劇。撮影は生方敏夫。主演は佐野周二、淡島千景、高千穂ひづる、大木美などに、九条映子・山鳩くるみ・岸輝子・山茶花究などが助演。
池永賀寿子は新進の流行作家で、新聞の身上相談やテレビと大活躍。夫の精一は病院の外科主任の医学博士だ。結婚して七年経つが子どもはいない。精一の妹・大学生敏子と姿やのあさが同居している。敏子を好きな二人組の大学生、島田・安達が、最近、望遠鏡を買った。星は見ずに、近所の窓をのぞくのである。敏子は憤慨したが、ちょっと借りてのぞいたとき、思わぬ光景が写っていた。温厚・篤実のはずの精一が若い女性の部屋で、エプロン姿でビフテキを焼いたり、背中をかいてやったりしているのだ。彼の病院の友人・二見もいた。どうりで、この頃、手術だ、同窓会だといって遅くなる。ジキル博士とハイド氏である。島田らの調査によれば、その女性は吉岡ルリといい、雑誌「近代女性」の記者である。池永の病院の看護婦養成所にいたことがある。週二、三回、精一が現れ始めて半年も経つという。敏子は口止め料と精一から小遣いをねだるが、ある日ルリが社用で来たにしろ平気な顔で賀寿子を訪ねるに及んでは黙っていられなかった。賀寿子は望遠鏡をのぞかされて愕然とした。彼女は決心し、仲人の叔父・宮原夫妻や、二見、ルリを呼びよせる。ルリに夫の譲渡証を書き、離婚を宣言し、当分、叔父の家に世話になることにした。精一は止めようとしたが、無力なのである。奔放なルリにちょっとひかれただけなのに。ルリは賀寿子の出て行ったあとに、引っ越してきた。敏子は恋人の進と協力して、元の平和な家庭に戻そうとする。