1959(昭和34年)/2/25公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
阿木翁助原作の『秋のつばめ』を馬場当が脚色し、大野徹郎が監督したホーム・ドラマ。撮影は井上晴二。
八百庄の長女和枝は母の亡き後、家業に精を出すあまり、婚期を過ぎようとしていた。父親の庄吉は競馬競輪にはまり、妻の死後は店をほうり出して町内の役員になった。氏神様の改築で部会議員のボス里田の口車にのり、昔友達の魚芳の意見に耳をかそうともしなかった。庄吉が改築費用の五百万円を町内に割りふるという話を聞いた和枝は、町内に住むサラリーマンの村上に相談した。そして二人で町内を歩き改築反対の説得をして廻った。和枝と村上は幼馴染で、いつもは喧嘩ばかりしているが、本当は二人とも好きあっていた。村上は魚芳を通じて和枝に結婚を申込んだ。和枝は父や弟妹のことと、自分の幸せのことを考えてどうしようかと迷った。数日後和枝は父の洗濯物から都電の定期券をみつけた。弟の信一にたずねると、父親に戦争未亡人の伊勢子という女があることがわかり、憤然とした和枝は伊香保温泉に家出してしまった。そこは母の生前に一家で来た思い出の場所だった。和枝はそこで仲睦じい老夫婦をみて、いつしか父を許す心境になった。そこに女と別れることに決心した庄吉が、信一と一緒に和枝を迎えに来た。伊香保からの帰りに、和枝は伊勢子をたずね、自分の浅はかさをわびた。そして父と一緒になってくれと頼んだ。伊勢子を迎えた八百庄一家は明るかった。和枝と村上の結婚も間近かに迫った。