1959(昭和34年)/7/25公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
雑誌平凡に連載された小糸のぶの原作を、田畠恒男が脚色・監督したメロドラマ。撮影を布戸章が担当。
(前篇)志摩半島の英虞(あご)港。山岸真珠工場に、美しい姉妹がいた。桂子と早苗という。長女は結婚式が間近だ。工場に、勝又という見知らぬ男が現れた。東京から来た彼は、妻に逃げられて以来人が変わった。中小企業の山岸工場を手に入れるために来たのだ。山岸の長男・良一は道楽息子で、百合江という女に夢中になっていた。勝又は良一の持ちだした工場の権利書を百合江から受けとった。百合江は代金で名古屋にトルコ風呂を開いた。良一を怒った父が急死し、桂子が破談になった。早苗の恋人、学生浩介はその父と衝突して姿を消した。桂子は勝又の仕業に殺意を持ったが、彼の前に出ると何も出来なかった。数日後、母を残して姉妹は郷里を離れた。(後篇)浩介は仕事の途中、良一を見た。彼は釈放された後、東京でタクシーの運転手をしていた。浩介は山岸の一家四散を良一に知らせた。良一は責任を痛感したという。早苗は借家探しにきた礼子という女と知り合い、一緒に暮らした。礼子はキャバレーの歌手だ。早苗もキャバレーにつとめたが、失敗ばかりだった。純情の故だという。女マネージャーからつらくあたられた。それは百合江で、キャバレーの社長は勝又だった。早苗を百合江からかばってくれた。彼の仕業を何も知らぬ早苗は彼に好意を抱いた。桂子は銀座裏のバーでやとわれマダムをしていた。蘭子の経営だ。裏は賭博場に通じ、有賀たちが出入していた。桂子には手が出せない。蘭子の目が光っていたからだ。そこに勝又がこの競争相手のバーを買取りにやってきた…。