1961(昭和36年)/8/6公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
黒岩重吾の直木賞受賞作を新藤兼人が脚色し、野村芳太郎が監督したサスペンス・ドラマ。撮影もは川又昂が担当している。
大阪の阿倍野病院は、宗教団体の資金で運営されており、設備も悪く、患者も質が悪かった。産婦人科の医師植は、女癖が悪く、看護婦の妙子、景子など何人もの女と関係をもっていたが、仕事には熱心だった。科長の西沢は、金にならない患者には冷たく、自然植とは仲が悪かった。植の女あさりは、別れた妻に原因があった。戦後ある大病院に勤めた彼は院長の姪と結婚したのだが、妻の妊娠中、自分のスペルマを調べて驚いた。彼の体には子供をつくる能力がなかったからだ。植は裏切った妻の許をとびだした。ある日、パン助の光子が掻爬にきた。植は発育不良の体質から手術は明日にした方がと西沢に言ったが、西沢は直ちに手術をした。出血多量で死んだ。女には安井というヒモがついていたので、200万の慰謝料をゆすられた。西沢は警察に訴えようとするが、それには植の証言が必要だ。植はハネつけた。病院の創立記念日、飲んで歌っての大騒ぎとなった。植も酔って宿直室で寝てしまうが、ガス中毒に…幸い景子が発見し危うく命をとりとめた。植は犯人を探しだす決意をした。植にうらみを抱く人間は数人いた。まず西沢、彼も酔って宿直室に泊まっていた。薬剤師の伊津子、彼女は植に暴力で犯されていた。次は伊津子を慕っている薬の剤師斎賀、植と伊津子のイキサツを知っていたからである。第四は看護婦の妙子、植のスキを見て金を盗んでいる。植は彼らを調べたが、キメ手がなかった…。
ブルーリボン賞助演女優賞(高千穂ひづる)