1964(昭和39年)/2/1公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
菅野昭彦がオリジナル・シナリオを執筆、酒井辰雄が監督した風俗ドラマ。撮影は堂脇博が担当している。
料亭・花月の主人米造は、養子のうえに長い戦争のおかげで、留守中長女の巴絵、次女の恵子をかかえて花月を繁昌させた妻のかつには、頭があがらない。彼の慰めは、かつの目を盗んで競輪にゆき儲ける事と、バーのホステスひろみに会う時だけ。長女の巴絵は大阪で中国人の季のもとに嫁ぎ、花月をつぐのは次女の恵子だが、店の板前の留吉はこの恵子をひそかに愛していた。しかし恵子は一向に店をつごうとしなかった。そんな所へ巴絵が夫婦喧嘩の末、帰って来た。かつは、これを機会に巴絵と店をがっちりやってゆこうと改築資金三百万をかけて工事にかかった。一人のけものにされた米造はおもしろくない。とうとうかつと喧嘩して、大阪の季の所に身を寄せた。姉の家出に気をもんだ恵子の粋な計いで巴絵の誤解もとけ姉夫婦は元のさやに納まったものの、又も米造だけが宙にういてしまった。そこへ丁度よい事件がもちあがった。工事をたのんだ安原が三百万もってドロンしたのだ。米造は、競輪で儲けた三百万の使い所と傷心のかつの前に、ポンと投げ出した。男まさりでも、そこは女、以来夫婦仲もよく、うまい料理を食べさせては、客を呼んでいる花月である。