1964(昭和39年)/11/1公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
藤原審爾の「結婚までを」を二本松嘉瑞が脚色、監督した青春もの。撮影は倉持友一が担当している。
倒産寸前の小さな出版会社に勤める筒井杉子は、町工場の工員小田常夫と四年前に婚約したが、杉子の家庭の事情で未だ結婚出来ない状態だった。杉子の家庭は、父の松太郎、母の園枝、妹の光子、弟の明夫の五人家族であったが、収入は松太郎のライター組立で得る微細なもので、生活の重荷は杉子にかかっていた。そんな毎日を杉子は、常夫とのデートでまぎらわしていた。ある夜、杉子の家を訪ねた叔母は、杉子の妹光子を養女に欲しいと話した。叔母は、夫を亡くしてからは、ケチ後家と言われながら、女手一つでアパートを経営していた。だが杉子や園枝は、どんなに貧しくとも光子を手離す気にはなれなかった。ある日出勤した杉子は、編集長の江見や同僚の大下豊子、飯塚、川村らと共に、社長代理と名のる高木から「今日から会社は石井七太郎新社長に変わるとともに、何名かに退職して欲しい」と言い渡された。突然の首切りに驚き、生活の不安をおぼえる杉子を、常夫はやさしく力づけた。江見編集長を始めとして、仲間たちが、突然の発表に狂ったようになっている毎日を杉子は息苦しく耐えた。そんなある日、酒に酔った江見は、ずる賢こく高木にとりいった飯塚を、暴力で責めあげ、杉子、豊子、川村の三人が首になることを吐かせた。杉子は強い打撃を受けたが、川村はそのショックから絶望して、自殺をしてしまう・・・。