1965(昭和40年)/1/15公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
佐多稲子の同名小説を楠田芳子が脚色、川頭義郎が監督した女性ドラマ。撮影を荒野諒一が担当している。
高岡義郎には、ふみ子、節子、ちづ子の三人姉妹がいた。長女のふみ子を頭に皆、結婚前の娘だ。母を亡くした高岡家だが、明るく個性を伸ばす娘たちで、楽しい日々であった。そして長兄一郎の妻で今では未亡人の芳枝も、再婚に失敗して、子供を連れて高岡家に居候の身であった。そんなある日、高岡家にも娘たちを中心に波風がたち始めた。次女の節子は、父に内緒で同僚の健一と結婚の約束を交わしていたが、その健一が父との対面を前に結核で倒れてしまったのだ。しかも健一の母は、見舞った節子に結婚は許せないと冷たく言い放った。そんな中で、長女のふみ子は、甥の孝を連れて歯医者に通う内、患者で小学校の教員をする青木豊と意気投合して、プロポーズを受けた。消極的なふみ子だが豊の誠実さには強くひかれていた。一方芳枝は身におぼえのない慰謝料請求事件に悩まされていた。再婚に破れた芳枝が松本に対して、30万の慰謝料を請求したと言うのだ。しかしこの事件は、末娘ちづ子が芳枝の代理として、現代っ子気質から話を進めていたと判って、芳枝は却って独立心をかられ、染物の下絵の仕事に精を出した。この頃、節子は健一の病気の静養に二人の未来を賭けて法師温泉に行く約束をしていたが、当日駅に健一の姿はなく、節子に、健一の死が知らされた。喀血で窒息死したのだ。言葉もなくうなだれる節子を、芳枝は静かに慰めた。そんな節子を見たふみ子は、青木への激しい感情を覚え、青木との結婚にふみきった。こうして高岡家の生活に何かと支えになった芳枝だが、ちづ子に「家族のことは家族で考えます」と宣言され、初めて甘えていた自分を考え、ふみ子の結婚が決まった日、芳枝は高岡家を後に、新しい生活に入っていった。