1968(昭和43年)/7/20公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
桜井義久がシナリオを執筆し、斎藤耕一がメガホンをとった青春もの。撮影は大越千虎が担当している。
鎌倉にある前田邸は、ここ数年ひっそり静まりかえっていた。なぜなら主人の剛造が出かけたままであり、息子の健は家出して四年も消息を断っていたからである。そしてこの大邸宅の住人といえば、老僕・吉岡とその娘・民子、それに彼女の友だちエミの三人だけだった。そんな環境の中で、エミと民子は、前田邸を児童福祉に役立てようと考えた。やがて近所の子供を集め楽しい生活が始まったが、子供たちはヴィレッジ・シンガーズの演奏がききたいと難題を持ちかけた。その頃、ヴィレッジ・シンガーズの面々は、ボーナス休暇を利用して鎌倉海岸に来ていた。そこで彼らは、雑誌記者から音楽の勉強をしている前田健に紹介された。そして彼らは、アルバイトのかたわら黙々と作詞作曲にうち込む健に好感を抱くのだった。その日、令嬢に扮しグループ・サウンズを探していたエミが、ヴィレッジとも知らず、彼らに話をもちかけた。前田邸に歓声が湧き上ったのはその翌日のことである。それから数日、健がふらりと帰って来た。前田邸に滞在していたヴィレッジはびっくり仰天。エミの驚きはそれ以上だった。やがて二人に恋が芽ばえた。そして、健は剛造と離婚した母せつ子を訪れた帰り、エミに恋をうちあげた。それから間もなく帰って来た剛造、健の間に、嫌悪な空気が流れた。剛造は健の親不孝をなじり、健は親子の愛情のかよわない父を嫌った。激しい口論の末、健は家を飛び出し、その後を追ったエミは、車にはねられてしまった・・・。