1968(昭和43年)/9/27公開
配給:松竹(受託配給) 製作:ユニコン・フィルム
中国の古典「金瓶梅」を素材にしたもので、上田学而の原訳(人物往来社版)を、大和屋竺が脚色し、若松孝二が監督した。撮影は伊東英男が担当している。
中国・宋時代。武松は人喰い虎を退治して一躍名をあげ、警備隊長になった。兄の武大と会って仕官を祝った時、武松は兄嫁・潘金蓮の美しさに見とれてしまった。金蓮の美しさにひかれたのは、富豪・西門慶も同様であった。西門慶は金蓮を手に入れるため、金蓮に武大を毒殺させてしまったのだった。そのころ武松は梁山泊の水滸党と戦っていたが、兄の死を知り愕然となった。役人に西門慶の犯罪を訴えても、証拠がないと一蹴されてしまった。怒った武松は西門慶の家に乗り込んだが、その時に西門慶と結託した小役人を投げ殺し、牢送りになった。そんな武松を、西門慶はせせら笑って見送るのだった。西門慶は根っからの遊び人で、女中や芸者はもとより、町の女房、後家にまで手を出す男だった。そんな有様だったから、富豪の第5夫人におさまった金蓮も空閨をもてあまし、美少年を引き入れ、情事に耽っていた。ある日、西門慶は金の力で官職を買いとり、隣人の女房・李瓶児に目をつけると、夫を殺して手に入れてしまった。その合間に、西門慶は侍女の春梅とも関係を持ち、情痴の限りをつくしていたのだ。一方、獄中の武松は西門慶の放った刺客に襲われたが、水滸党に助け出され、自らその一員に加わった。官吏の腐敗ぶりに飽き飽きしていたからでもあった。武松脱獄の知らせを聞いた西門慶は、彼の復讐を恐れ、ますます酒と女におぼれていった。やがて、武松は水滸党を引きつれ、町に攻め込んできた。激しい攻防の末、武松は兄の仇西門慶を刺殺した。その時現われた金蓮は、武松こそ永遠の恋人と抱きつくのだった。しかし武松は、金蓮が恍惚とする間もなく、その白い胸を刀で刺し貫いた・・・。