1969(昭和44年)/1/11公開
配給:松竹(受託配給) 製作:松竹 / ビクター / ワールド・プロモーション
柳井隆雄の原案を彼と桜井義久と石田守良の3人が脚本化し、市村泰一が監督した歌謡もの。撮影は小杉正雄が担当している。
呉服店東屋の若旦那・吾妻浩一には悩みがあった。父親惣太郎が、多角経営の失敗にも凝りず、愛人の元芸者幾代とスナック経営に乗りだしたことや、ゲバ捧を振回し機動隊との闘争に血道をあげる弟竜男のことだった。それに、身体の弱い義理の妹八重子も心配の一つだった。ある日、浩一は八重子を同行して、東西のれん会が開かれる京都に出かけた。浩一はそこで旧友で、関西財閥白河の令嬢純子から、売却済の江戸小紋を注文された。困った浩一は、代わりの品を家に届けたが、気に入られず喧嘩別れをする始末だった。それから数ヵ月。純子が、着物の図案を持って浩一の店を訪れた。浩一は、その注文を断りきれず、信州の型彫り職人を尋ねた。八重子と森村との縁談が持ちこまれたのは、その折だった。浩一を慕う八重子は、兄を追って信州に出向いた。しかし、浩一と別荘へ来ていた純子との仲の良い姿を見て、肩を落とすのだった。やがて八重子は京都に一人旅をした。そして、後を追って来た浩一に、はじめて愛の告白をするのだった。浩一は、妹ではなく女としての八重子を感じた。やがて二人は惣太郎に結婚の宣言をした。八重子との結婚が御破算になった森村は、晴れやかな二人の姿を見て、吾妻がスナックを開いた時、担保に入れた東京の権利を貸し与えるのだった。