1969(昭和44年)/10/29公開
配給:松竹 製作:毎日映画
新藤兼人が脚本・監督を担当、撮影も新藤チームの黒田清巳が加わった。関功が脚本執筆に参加している。
真夏のある夜、死体を引っ張って尾道に向かう伝馬船があった。被害者は、尾道のバー「磯千鳥」のマダム・おとよだった。尾道警察では、大石主任刑事らで緊急捜査班を編成、この奇怪な事件の解明に乗り出した。さて、おとよの屍体は二つの鍵を持っていた。一つは店の鍵もう一方は同じ店に勤める若い娘道子のアパートの鍵だった。捜査陣は道子を追求、続いて彼女と関係のあった中西を追ったが、何の糸口も掴み得なかった。やがて、おとよの過去が明るみに出た。それは、彼女と関係のあった本郷、土田が中西と同じ三笠島出身であることと彼女が障害のある息子を島の役場に預けて離島したという事実だった。三笠島から戻った大石たちは、伝馬船が道子の出身地大根島のものであることをつきとめた。大石の推理では、犯行が大根島で行なわれ、犯人が伝馬船で屍体を運び、どこかに埋めようとした、らしい。そして事件当日、「磯千鳥」にかかった謎の電話、おとよから7万円の借金をしていた道子が、ふたたび注目された。その道子は向島の造船所に勤めていた。やがて、尾行していた刑事たちは、青年に近づく道子を見つけた。青年は堀という大根島出身の造船工。彼は、3カ月前に大怪我をし5万円余の入院費を支払っている。刑事たちは、道子の借金が堀のために使われたと確信したが、その確証は得られなかった。そんな折、入院中で捜査圏外にいた中西が病院から三笠島へ逃亡、後を追った大石は彼を厳しく追求、20年前に起こったある事件について白状させた・・・。