1971(昭和46年)/5/19公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
日本古来の泥棒術、雲霞流の本流を汲む泥棒の物語。脚本は柳下長太郎と監督の渡辺祐介。撮影は荒野諒一がそれぞれ担当している。
笠井武太郎は、日本ブラウン管の守衛をしているが、守衛とは仮の姿で、本業は雲霞流の数少ない正統派の泥棒である。彼には、気の強い女房うまと、8歳になる一人息子紋十郎があった。ある日、今は足を洗って畳屋を営んでいる親分の小田松五郎の家に現われた武太郎は、かつて小田松が破門したギャングのような泥棒ケムンパスの竜が近く出所するらしいことを告げた。そしていよいよ竜が出所する日がきた。どうやら銀行ドロを働くらしく、昔の仲間デン徳や、アパ敬を引き込んだ末、小田松にも娘美代をだしにして仲間に加われと脅迫してきた。笠井は、義理ある親分のために一肌ぬぐ覚悟をした。決行当日、銀行に鬼山刑事の姿を見た竜一味は一目散に逃げだした。これは、武太郎が盗難訓練と称して銀行と警察に芝居を仕組ませたもので、ニセモノと信じていた鬼山を始め、銀行員たちは本物と知ってびっくり仰天した。一方、不首尾に終った事で腹を立てた竜は、責任を小田松に押しつけようと責めたてた。それを知った笠井は、50万円を盗もうと、仙波社長の家に泥棒に入るが、偶然に忍び込んできた竜一味とぶつかってしまった。しかし、一味は、急報を聞いて駆けつけた鬼山に捕えられた。竜が逮捕され、もはや50万円を調達する必要がなくなった小田松一家に春がきた。