1971(昭和46年)/11/13公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
夫が陰謀に捲き込まれ殺された事から復讐を果たそうとする妻の執念を描いたストーリー。原作は藤本義一の同名小説。脚本は、成田孝雄と「黒の斜面」でデビューした貞永方久。監督貞永方久。撮影を加藤正幸がそれぞれ担当している。
姿津子が夫・野口高志の情死を知らされたのは、夫が失踪してから6日目の夜だった。相手の女は生残り、高志だけが死んだ。遺された姿津子は5歳になる亮一をかかえて、これからどう生きたらいいのか戸惑った。しばらくして高志を死に導いた、クラブ扶美のマダム扶美子が百万円の小切手を香典として届けてきた。姿律子は嫉妬心にさいなまれた末、亮一を母に預け、野村信技という変名で扶美にホステスとして乗込むことを決心した。扶美子の磨き上げられた美貌と洗練された会話は地味な団地主婦だった姿律子には、予想以上の手ごわい相手だった。扶美子の愛のテクニックに翻弄された夫、しかも相手は今も艶然と生きている。嫉妬は激しい復讐心に変わった。少しずつ姿津子に気を許していく扶美子の隙に乗じて、彼女のパトロンが、亡夫の上司だった岡村営業部長であることをつきとめた。扶美の常連である画商の池沢は、姿津子に好意を持っていた。姿津子は、夫が死んで100日過ぎた頃生理的変調と若い肉体の自然な欲求にひとり悩んでいた。池沢は岡村と扶美子の関係についても詳しいようだ。池沢と親しくなれば、もう一枚扶美子のヴェールをはがせるかも知れない。結局、彼女は池沢に抱かれた。喜悦と悔恨の中で、目的を忘れまいと歯をくいしばりながら・・・。