1972(昭和47年)/8/5公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
全員集合シリーズ9作目。創業100年の料理屋を舞台に板前とその下働きたちが仕事と恋の珍妙な争いを描いた喜劇。脚本は田坂啓、監督は脚本も執筆している渡辺祐介、撮影を荒野諒一がそれぞれ担当している。
浅草の「川きん」といえば老舗の料理屋である。そこの下働きヒデオ、工作、風太は板前頭長吉にいつもいびられっ放しだった。三人は集団逃亡を決意、「川きん」の主人金太郎の一人息子で博奕好きのため今は勘当されている忠次のもとへころがり込む。一方、金太郎は近くのレストランの主人・正一の店で、妻を亡くした自分に較べ正一の妻かおるは若く、コックの武は働きもので……とグチっていた。かつて金太郎は女中の千代に子を生ませ、当時の板前頭の平作がその子を自分の子として千代を連れて店を去り、救われたことがある。長吉は金太郎の一人娘令子に心を寄せていたのだが、令子は武と人を忍ぶ仲。さて、数日の休みをとった長吉は、戻って来たヒデオら四人を海に連れて行き、海へ突き落としてしまった。その間に金太郎は長吉の代わりに平作を板前頭にしてしまい、戻って来た長吉は立場を失くしてしまう。その上殺した四人のズブ濡れの幽霊が出現、腰を抜かしてしまう。実は、四人とも救助され、長吉を懲らしめるために打った芝居だったのである。「川きん」は平作を得て昔の味をとりもどし、令子は武の開いた小さな店へとかたずいた。