1973(昭和48年)/7/14公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
吉川英治の同名小説の映画化。動乱の時代、野望に満ちた青年・武蔵の闘争のドラマを厳流島における佐々木小次郎との決闘まで描いたストーリー。脚本は野村芳太郎と山下清泉、監督は加藤泰、撮影を丸山恵司がそれぞれ担当している。
〈第一部・関ヶ原より一乗下り松〉作州宮本村の武蔵と又八は、出世を夢みて関ヶ原の戦いに参加したが、敗れて伊吹山中をさまよい歩くうち、お甲・朱実の母娘に救われた。又八はお甲に誘惑され夫婦になり、武蔵は帰国の途中関所破りをして役人に追われるはめになった。一方、又八の母・お杉は、息子が帰らないのは武蔵のせいだと、武蔵に恨みを抱いた。又八にはお通という許嫁がいたが、武蔵が沢庵和尚にいましめられ、千年杉に吊り下げられているのを見たお通は、武蔵を救い出し、共に逃げた。今では武蔵を慕う彼女は、武者修業を目論む武蔵に同行を懇願、武蔵も瞬間の激情にかられて、お通の体にいどむが、自らの行為を恥じ、逃げるように立ち去るのだった。それから3年--。京都の名門・吉岡道場の当主・清十郎は、お甲の営む料亭に入りびたり、朱実に執心していた。又八は、お甲に喰わせてもらい、半ばやけっぱちの生活を送っていた。ある日、武蔵を追い求めて京都に来たお通は、五条大橋の高札で、武蔵が清十郎から試合を申し込まれていることを知った。そして、その直後、お通は、又八、お杉と再会した。お通に未練たっぷりな又八に対してお杉は、武蔵を斬るように叱咤するのだった。