1974(昭和49年)/8/3公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
男はつらいよシリーズ第13作目。吉永小百合がシリーズ2度目の登場で、未亡人となった彼女との幸せを願って、奮闘努力する寅さんを描いた人情喜劇。脚本は朝間義隆、監督は脚本も執筆している山田洋次、撮影を高羽哲夫がそれぞれ担当している。
香具師渡世の寅の夢は、カタギの職業について、気立ての良い女性を妻に迎えて、東京は葛飾・柴又で暮らす、おいちゃん、おばちゃん、そして妹さくら夫婦を安心させることだった。そんな夢が一度に叶いそうな機会がやって来た。温泉津というひなびた温泉町で、ふとしたきっかけから温泉旅館で働いていた寅は、夫が蒸発している働き者の絹代という人妻と所帯を持とう、と決心したのだった。早速、柴又に帰った寅は、この縁談をまとめるべく、さくらと裏の工場の社長を引き連れて絹代に会いに行った。ところが、その絹代は寅の顔を見るなり、夫が戻って来たことを、嬉しそうに告げるのだった。さくらに置き手紙を置いてまた旅に出る寅。山陰にある城下町・津和野。ここで寅はなつかしい歌子と再会した。二年前、寅の恋心を激しく燃え上らせた歌子は、小説家の父の反対を押し切って陶芸家の青年と結婚したのだが、その後、その夫が突然の病気で亡くなり、今は夫の実家のあるこの町で図書館勤めをしていた。現在の彼女は不幸に違いないと思った寅は「困ったことがあったら、“とらや”を訪ねな」と言って別れるのだった。歌子が柴又を訪ねたのは、それから十数日後。人生の再出発をする決意ができた、と語る歌子は、暫くの間とらやの二階に住むことになった。それからの寅は、歌子を励まし、歓ばせるための大奪闘を続ける。