1975(昭和50年)/12/27公開 97分
配給:松竹 製作:松竹株式会社
「男はつらいよ」シリーズ第16作目。今回は教養を身につけようと心機一転して学問を始めた寅さんを描く。脚本は朝間義隆、原作・監督は脚本も執筆している山田洋次、撮影を高羽哲夫がそれぞれ担当している。
秋も深まったある日の午後。数カ月ぶりに寅はとらやに帰って来た。ところが、そこには山形から修学旅行で上京したついでに寅を訪ねに来ていた高校2年の順子がいた。寅は彼女を見るなり、おもわず「お雪さん!」と叫び、順子は目に涙をいっばいため「お父さん!」と叫んだ。寅は勿論のこと、さくらや、おいちゃん、おばちゃんはビックリする。実は順子は寅が17年前に恋焦がれた人--お雪の娘だったのだ。寅は毎年正月になると少しの金を添えて手紙を送っていたので、順子は、寅を本当の父親と勘違いしていたのだった。そのお雪がつい最近死んだ、と聞き、寅は歳月の流れをしみじみと感じた。とらやの人々がホッとしたのも束の間、「寅がまともに結婚していたらこの位の娘がいるのになあ」と愚痴るおいちゃんの言葉が原因で、怒った寅はまた旅に出てしまった。数日後、寅はお雪のお墓参りを兼ねて、山形を訪ねた。そこで寅は、寺の住職から、お雪の生前の不幸を聞かされた。彼女は学問がなかったために男に騙されたのだった。そして住職は、学問の必要な事を寅に教え、寅も晩学を決意した。一方、とらやには、御前様の親戚で大学の考古学教室に残り勉強を続けている筧礼子が下宿することになった。そんなところへ寅が帰って来た。明るく誰とでも気軽に口をきき、インテリぶらない礼子に、寅は次第に惹かれていき、勉強の方も彼女に教えてもらいながら真面目に続けるのだった。