1977(昭和52年)/10/1公開 108分
配給:松竹 製作:松竹株式会社
ドーンの作詞・作曲したフォーク・ソングとしても親しまれている、ピート・ハミル原作の映画化。模範囚として六年の刑期を終えた男が、行きずりの若者二人と共に、妻のもとへ向う姿を描いた感動のストーリー。脚本は山田洋次と朝間義隆による共同執筆、監督も山田洋次、撮影を高羽哲夫がそれぞれ担当している。
あざやかな緑の根釧原野を欽也の赤い車は、ラジオの軽快なリズムに合わせて、ひた走っていた。網走の駅前で、一人でふらりと旅に出た朱実と知り合う。朱実は列車食堂の売り子で、同僚から誤解を受けて、やけくそになって旅に出たのだった。朱実は欽也の車に乗せてもらったものの、海岸で不意に欽也からキスを求められて、車から飛び出した。逃げ出した朱実をかばい、鋭い目付で欽也を睨んだ男、それが島勇作であった。欽也は啖呵を切った行きがかり上、勇作に挑むが、軽くあしらわれてしまう。そんなことがきっかけで、三人の旅は始まった。欽也が勇作に行く先を尋ねると、「夕張」と答えるだけだった。大雪山が見える狩勝峠で、強盗犯人が逃亡したことから一斉検問が行なわれていた。欽也は免許証を見せるだけで済んだが、警官は勇作を不審に思い質問すると、一昨日刑期を終え、網走刑務所を出所したと彼は答えた。朱実と欽也は驚きのあまり、語る言葉もなかった。三人はパトカーで連行されるが、何もなく富良野署から釈放される。走る車の中で勇作は重い口を開いて、朱実と欽也に過去を語り出した。勇作は6年間、刑務所で過ごしたが、光枝の面影は、勇作の心から離れなかった。刑期を終える直前、勇作は光枝に手紙を書いた。「俺は、お前が良い男と再婚して、幸せになっていることを望んでいる。この手紙がつく頃、俺は夕張に行くが、もしも、お前が今でも独りで暮しているなら、庭先の鯉のぼりの竿の先に黄色いハンカチをつけておいてくれ。そのハンカチを見たら俺は家に帰る。でもハンカチがなかったら、俺はそのまま夕張を去っていく」と。車は赤平、歌志内、砂川を過ぎて一直線に夕張に向かった・・・。
タシケント国際映画祭ウズベック共和国映画人同盟賞:アジア映画祭主演男優賞(高倉健):毎日映画コンクール大賞:毎日映画コンクール脚本賞(山田洋次・朝間義隆):毎日映画コンクール監督賞(山田洋次):毎日映画コンクール音楽賞(佐藤勝):毎日映画コンクール録音賞(中村寛・松本隆司):毎日映画コンクール男優主演賞(高倉健):ブルーリボン賞作品賞:ブルーリボン賞監督賞(山田洋次):ブルーリボン賞主演男優賞(高倉健):ブルーリボン賞助演女優賞(桃井かおり):キネマ旬報賞作品賞:キネマ旬報賞脚本賞(山田洋次:朝間義隆):キネマ旬報賞監督賞(山田洋次):キネマ旬報賞主演男優賞(高倉健):キネマ旬報賞助演女優賞(桃井かおり):キネマ旬報賞助演男優賞(武田鉄矢):日本アカデミー賞作品賞:日本アカデミー賞脚本賞(山田洋次・朝間義隆):日本アカデミー賞監督賞(山田洋次):日本アカデミー賞主演男優賞(高倉健):日本アカデミー賞助演女優賞(桃井かおり):日本アカデミー賞助演男優賞(武田鉄矢)