1978(昭和53年)/8/5公開 103分
配給:松竹 製作:松竹株式会社
シリーズ21作目の今回は、マドンナ役に迎えられた木の実ナナが得意の歌と踊りを披露するほか武田鉄矢が寅さんと一緒に騒動をまきおこす。脚本は山田洋次と朝間義隆、監督も同作の山田洋次による共同執筆、撮影を高羽哲夫がそれぞれを担当している。
初夏の景色でいっぱいの柴又に、ふらっと寅が戻ってきた。風邪で寝込んでいたおいちゃん、その寅に「俺も年だ、店を継いでもらえたら……」と一言。「俺だってそれは考えている」と寅も無理して言うが、それからいつものように調子に乗って続けてしまう。みんなに馬鹿にされて、寅はまた柴又を後にする。九州は肥後の温泉にやってきた寅は、そこで後藤留吉という若者と知り合った。幼ななじみの芋娘にふられてガックリしていたところを寅に励まされた留吉、すっかり寅を気に入ってしまった。寅もつい長逗留してしまい、宿代もたまってしまい、さくらにSOSの手紙を書くのである。久しぶりに柴又に戻ってきた寅をみんなは大歓迎した。その時、紅奈々子がさくらを訪ねてきた。彼女はさくらの学生時代の同級生で、二人ともSKDに入るのが夢だった。今、SKDの花形スターになった奈々子を知った寅は理由をつけては浅草国際劇場に通いはじめた。梅雨に入る頃、留吉が上京してきた。国際劇場に案内された留吉は、踊り子の富士しのぶに一目惚れしてしまうのである。留吉は浅草に残り、トンカツ屋に就職して、国際劇場専門の出前持になってしまった。梅雨が明ける頃、奈々子はまたさくらを訪ねた。彼女は照明係の男に恋をしており、結婚するか、舞台ひと筋に生きるかを、さくらに相談に来たのである・・・。