1982(昭和57年)/5/15公開 104分 カラー ビスタ 映倫番号:110726
配給:東映 製作:東映
早稲田文学賞を受賞したベストセラー小説を、孤独で虚無的な世界観を現代感覚で描き出す藤田敏八監督が映像化。妻もあり愛人もいる中年男。その男と同棲生活を続ける女子大生との奇妙な関係。各々が会いに傷つけられながらも終わらせないでいる姿を決して悲劇的になることなく描いている。主演は当時新人ながら大抜擢された田中美佐子。さらに山崎努、加賀まり子、朝丘雪路、石田えり他共演者陣も豪華な顔ぶれが揃った作品である。
弓子は憧れていた予備校講師・三村とひょんなことから親しく話をする機会を持った。「男には自分の傘に女を入れてやりたいヤツと自分が女の傘に入りたいヤツと二通りいるんだ・・・」酔いつぶれた二人は三村の愛人・和子の部屋へ泊まる。弓子と三村は急速に親しくなり、弓子の部屋で愛し合うようになった。三村の家庭は上辺は幸福に見えるが、実際は妻のノイローゼが原因で病んでいる虚構の家だった。そして、和子との関係も終わらせない三村を弓子は理解しようとしていた。弓子は志望校の早稲田大学に合格し、三村は今までに見せたことのない笑顔で喜んだ。三村は弓子を愛していたが、和子ともこれまでと何一つ変わらない関係を続けており、そんな三村との関係に疲れ始めた弓子は、若くして理解できない愛を通り過ぎようとしていた。