1985(昭和60年)/1/15公開 135分 カラー ビスタ 映倫番号:111492
配給:東映 製作:東映
大ヒット作「鬼龍院花子の生涯」「陽暉楼」に続き、宮尾登美子と五社英雄の名コンビで描く文芸感動巨編。
宮尾・五社三部作の完結編となる本作は、大正初期から昭和10年代までの高知を舞台に、女衒の一家とそれに関わる様々な人間を描きながら、ヒロイン喜和の女として妻としての愛と悲しみの30年を浮き彫りにする。出演の緒形拳、十朱幸代のほか、そうそうたる顔ぶれのキャストがそろう。
大正3年初夏、高知。芸妓・娼妓紹介業を営む富田岩伍が旅の途中で拾った少女・菊を連れて帰ってきた。岩伍の女房・喜和は、垢だらけで乞食同然の菊をいきなり預けられ困惑する。菊は悪い女衒に支那へ売り飛ばされるところを岩伍に助けられたという。稼いだ金は右から左という岩伍のせいで貧乏世帯を切り回す喜和にまた一つ菊の養育という苦労が重なった。女衒という恥じかき稼業にありながら貧乏を人一倍憎む岩伍は手を広げたいというが、喜和は女をあちこち転がす紹介業が好きになれない。そして、大正15年9月、菊は19才の美しい娘に成長していた。この頃、岩伍は40過ぎの男盛り。野心も人一倍とあって、娘義太夫の興行に手を染めると、土地のやくざ・谷川一家との摩擦や美しい女義太夫・巳吉との関係など様々な悶着、波紋が広がり、喜和を苦しめることとなった。そんな喜和に追い打ちをかけるように長男の竜太郎が不治の病・結核の診断を受け、次男の健太郎は遊蕩に溺れていくのだった...。