1987(昭和62年)/1/15公開 137分 カラー ビスタ 映倫番号:112197
配給:東映 製作:東映
宮尾登美子の短編傑作「夜汽車」「岩伍覚え書」をもとに、男女の織りなす激しく悲しい人間模様を華麗にして重厚に仕上げた愛のドラマ。
男に愛されることで命を燃やす姉、男を想うことで心を焦がす妹。宮尾文学ならではの劇的醍醐味が展開する。
昭和10年、秋。高知行きの夜汽車の中で、露子は少女の頃を思い出していた。露子が13歳の時、母親は妹の里子を産んで死に、やくざな父親は、露子を料亭に売り飛ばした金を酒と博打で使い果たしたあげく野垂れ死にしていった。身寄りもない露子は、泣く泣く里子を人手に渡し、養育費を稼ぐために芸妓として各地を転々とし、16年ぶりに故郷に帰ってきたのだった。そして里子は17歳の女学生に成長していた。山海楼に腰を落ち着けた露子は、田村征彦という男を知り、心を惹かれる。征彦は高知のやくざ一家・田村組の息子だが、とてつもない夢を抱いて父親の伊三郎とは別の世界で生きていた。露子と征彦が逢瀬を重ねているそんな折、里子が突然喀血、入院費として大金が必要となった。征彦はその金策の途上、田村組と高知を二分する百鬼一家の刺客に狙われ、逆に斬ったことで刑務所に収監されてしまう。里子を海辺のサナトリウムに入院させた露子は、再び借金を背負う身となって北陸地方を転々とし3年の歳月が流れていった。やがて里子から退院の知らせを受けて高知に戻る露子。だが、そこで目にしたのは裏長屋に夫婦同然に暮らす征彦と里子の姿だった…。
第11回日本アカデミー賞(最優秀助演男優賞)